大きな穴をあける

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小さな穴ならばドリルで簡単に開けることができますが、直径が3cm以上になるとドリルではきれいに開けることは難しくなるので、別の方法が必要になります。真っ先に思いつくのはジグソーに曲線用のブレードをつけて円切りジグを使ってカットする事ですが、この方法はお勧めしません。ジグソーは原理的に曲線を切るとブレードが外側に逃げるので切断面が垂直にならず、ジグを使っても真円には切れません。

トリマーやルータに円切り用のジグを取り付ければ、円形の板を作る事も、大きな穴や溝を掘ることもできます。この方法ならばジグソーのような問題はありません。

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このようなジグは、いろいろなタイプの物が市販されていますし、単純な構造なので簡単に作る事もできます。

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このテーブルは、中心に3mmの穴をあけてジグの軸として、ルーターで外周と内部の溝を切っています。

このタイプのジグは、プランジ機能のないルーターやトリマーでは使用する事はできません。厚い板をカットする場合、ルーターでは一度に切る事はできないので数ミリずつ掘り下げていく事になりますが、プランジ機能がないルーターではビットを回転させたまま少しずつ繰り出し量を加減すると言う操作ができません。一度止めてから繰り出し量を調整すると、再開時にビットが板に強く接触した状態でスタートする事になり、非常に危険です。私はプランジルーターを持っていなのですが、無理やりこの方法を試して怖い思いをした事があります。

最近良く使う方法は、ルーターリフターを使ってルーターテーブルで加工する方法です。
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図のようにMDFに穴をあけてセンターピンを立てたジグを、ルータースタンドに固定します。固定位置は、センターピンとビットの間隔がちょうど半径となるように調整します。そして、材料のセンターに明けた穴をピンに刺して、ぐるぐる回しながらルーターリフターでビットを繰り出してカットします。このとき使用するビットは、1/4インチのスパイラルビットです。

この方法は、プランジルーターと円切りジグを使った加工に比べて安定性が高く、精度の高い加工を行う事ができます。また、円切りジグで隠れてしまうような、10cm以下の中途半端なサイズの加工も容易にできます。

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例えば、このリングはThe Desktop "Nautilus"で作成したMDF製のリングですが、内径47mm、外径51mm、フランジ0.5mmです。肉厚は1.5mmしかありません。このような薄いリングの加工もこの方法ならば可能です。

ビットの繰り出し量を増やしていくとやがて材料を貫通しますが、貫通した状態で回転させると完全に切断されてしまいます。切断されるとセンター位置が不安定になるので、円の外周が荒れてしまったり、思わぬトラブルの元になります。ですので、最後の1周はビットを貫通させずに紙の厚さぐらいを残して切削すると安定します。残した部分は非常に薄いのでカッターなどで簡単にカットする事ができます。

ジグの固定位置とセンターピンの位置を変える事で、いろいろなサイズの円に対応できますが、ルーターリフターのハンドルが材料で隠れてしまうような位置の穴あけには使用できません。ルーターリフターによっては、ベルトやチェーンを使ってハンドル位置がビットから離れた位置にあるものもありますので、そういうリフターのほうが使いやすいと思います。

同じ大きさの穴をたくさんあけるときには、この方法を繰返すと面倒です。9mmぐらいのMDFにこの方法で穴をあけてテンプレートを作成し、ジグソーで大体の穴をあけてからフラッシュビットやテンプレートビットで整えた方が容易です。ルターリフターのハンドルが隠れてしまうような位置の穴あけでもこの方法が使えます。



最近、ルーターをプランジベースが付いたBOSCH 1617EVSPKに入れ替えたのを期に、Router Buddy 5-in-1 Universal Base Plate And Guideというジグを購入しました。

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対応機種に1617EVSPKも含まれていたのですが、なんと固定ベースの方だけに対応してました。よくよく見てみると1617EVSPKのプランジベースのプレート取り付け穴は固定ベースとは全く違う位置にあり変則的な3点止めです。仕方なくRouter Buddyの方を加工して取り付けることにしました。何度か使ってみたところ、ルーターテーブルを使用した方法に比べて手軽に使えるし、径の調整が楽にできて便利なジグです。しかし、センターピンをスライドさせるための銀色のバーと本体のプレートの隙間に切削粕が入り込み、木材に傷をつけてしまうことがありました。ただ、切削量を少なめにしたり良く切れるビットを使うなどして対処すれば問題ない範疇です。頻繁に円を切る場合にはこういう市販のジグも揃えておくと便利だと思います。

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